STORY
犬も飼い主も超リラックス。自然が癒やすトリミングサロン
快適さと安全性を重視した、熟練トリマーならではの知恵
「たとえば心臓の悪い子(犬)だったら室温やシャワーの温度を低めにするとか、関節の悪い子だったらなるべく足を上げないとか、動物看護の経験を活かして仕事をしています」。藤岡さんは長年、動物病院の専属スタッフとして勤めたベテランのトリマーさんです。元気なワンちゃんはもちろん、病気などストレスを抱えた子でもリラックスしてトリミングを受けて欲しいと、戸建の個人サロンを開業しました。
11畳の広々としたトリミング室に施術台が2台。大きな窓の外にはのどかな風景が広がり、室内は虫の声しか聞こえてきません。自然の静けさの中でお手入れが始まると、怖がりの子でもウトウトしだすのだそうです。
安全性にも十分配慮しました。ブルーの壁紙は藤岡さんの好みの色ですが、ワンちゃんの体がはっきり見えるようにと犬の毛色になじまない色を選んでいます。照明の数が多いのもカットの手元を十分に照らすため。光の色によって毛色の見え方がちがってくるので、蛍光色と昼白色の2色を交互に配置するという工夫もあります。
ベースとなる仕様は横尾建設の一般住宅と同じものですが、社長やコーディネーターの山口さんと相談しながらトリマーならではのアイデアを盛り込みました。「土地の問題やいろいろ要望もあって他の会社さんには断られました。引き受けてくださったのは横尾さんだけ」と藤岡さん。イメージを具体的に伝えられず、現場で実物を見ながら調整することも多くあった。「納得のいくまで打ち合わせしてくださったおかげで、思い通りの店になりました」と感謝を表します。
開業の発端は、勤務先の院長先生から「病院を畳んだときのことも考えておきなさい」と言われたことでした。藤岡さんは新しい職場を探すよりも帰れる場所が欲しい」と独立を選びました。家から近い土地にこだわったのも家族との時間を大切にしたいという思いがあったから。「今は、長女が家から自転車をこいで“ママ~”とお店を覗きにきます。ジュースを飲んで、カットしているのを眺めて、飽きたら“バイバイ”って。これって理想。今、私はノンストレスです」。