『暖かい家に暮らすと、どれくらい健康になるのか?(その2)』

皆さん、こんにちは。暖かい日が続くようになって、いよいよ春を感じますね。でも、新型コロナウィルスの関係で、各種の大型イベントや経済活動にも影響が出始めましたね。早く収束してくれることを祈るばかりです。
さて、前回からの続きで、暖かい家は経済的だけでは無くて健康にも良いんですよ・・・というお話の2回目です。
今回も、より具体的な『数値』で、どのくらい健康に良いのかを表したいと思います。JSBC(日本サステナブル建築協会)が、国土交通省と厚生労働省の監修の元、具体的な数字を発表しました。この発表された数字を元に、前回の続きのお話しをさせて頂きます。
(3)疾病との関係
前回(2)健康診断との関係で、室温が18℃以上のお部屋に住んでいる人の方が、健康診断結果でも大きな差が生まれるお話をしました。
今回は、床の温度と疾病の関係性についてお話しさせて頂きます。リビングの床の温度が15℃以上の場合と、15℃未満の場合の病気との関係性ですが・・・
リビングの床の室温が15℃未満に住んでいる人は、床の温度15℃以上に住んでいる人と比較して・・・
- 高血圧で通院している人が、1.51倍多い
- 糖尿病で通院している人が、1.64倍多い
かなり驚くような数字です。
しかもこの調査結果の興味深いところは、床面~1m上の空気の温度は、ほぼ一緒ということです。つまり、純粋に、床の表面温度が15℃以上あることが大切だということです。
(4)脱衣所と入浴方法との関係
『熱め入浴』・・・という言葉があります。これは、リビングや脱衣所の温度が低い状態で過ごしていて、そこからお風呂に入ると自然と温度が高め(熱め)の入浴をしている状態(温度差が高い=入浴事故)と同じになってしまう現象です。
つまり、高齢者の方が一番家の中で気をつけて欲しい『ヒートショック現象』になりやすい状態になります。
リビング~脱衣室~浴室での、ヒートショックのリスクを比較すると・・・
リビング、脱衣所の温度が18℃以上:基準1.0とすると、
- リビングだけ18℃、脱衣所18℃未満:1.75倍多い
- リビングも脱衣所も18℃未満:1.77倍多い
これを見ると、脱衣所の温度が18℃以上必要なのがよく分かります。
(5)住宅内活動時間との関係
家の中での活動時間も、室内温度が大きく関係しています。
きちんと高断熱化された家は、リビングや脱衣所の温度を暖かく保つことで、コタツが不要になったり、脱衣室の暖房器具が不要になります。
これによって、65歳以上の高齢の人でも、1日当たり30分以上の住宅内での活動量が増えます。若い人であれば、より多くの活動量の増加が見込めます。
皆さん、いかがでしたか?前回と今回の話をまとめると・・・・
- 血圧を下げる温度・・・・室温20℃以上
- 健康診断の結果に好影響・・・室温18℃以上
- 疾病傷害で通院しにくくなる・・・・床面の温度15℃以上
- ヒートショック事故が起きにくくなる温度・・・脱衣所の温度18℃以上
つまり、リビングの温度は20℃以上、リビングの床面は15℃以上、リビング以外の温度は18℃以上・・・の家が理想になります。
家の中に、ほんの少しの熱源を灯すだけで20℃以上を保温できる性能の家・・・これをきちんと考えて家造りをすれば、そんなに難しい事ではないと思います。
もちろん、とっても高価な換気循環システムや、床暖房など使わなくても、こういった性能の家を造ることは可能です。
どの様にすればお金をかけずに、暖かい家が出来るのか?
この続きのお話は次回に書きたいと思います。興味深いお話しが続きます。楽しみにしていて下さい。それでは、また、来月お会いしましょう!