『家の断熱性が弱いと、エアコン嫌いになる?(その3)』

皆さん、新年明けましておめでとうございます。今年のお正月は結構長い休みで、雪もなく穏やかだったので、お出かけされた方も多かったのではないでしょうか?
さて、先々月、先月に続いて、今日は3回目の最後です。
1回目は・・『暖房にかかるコストは、実はエアコンが一番安い』
2回目は・・『寒冷地エアコンを選択する事で、エアコンの弱点は克服できる』
というお話しをさせて頂きました。3回目の今日のお話しは・・・
『家の断熱性能を一定基準以上にしないと、エアコンの良さが活用されない!』
エアコンによる暖房にかかる電気代は、実は一番安く、寒冷地専用エアコンを導入することによって冬のエアコンの弱点は克服できることを、前回・前々回のお話しでご理解頂けたかと思います。
それでも、『エアコンでの暖房は寒く感じる』・・・という方はいらっしゃいます。何故でしょう?寒がりだから??
エアコンでの暖房効率を最大限にするには、『家の断熱性能』を高める事が必須になります。寒冷地専用エアコンはとても暖かいのですが、温風が60℃程度までなので、灯油・ガス暖房機に比べると、温風温度は低くなります。
部屋の中で人間が感じる体感温度(この計算式はあくまで簡略式で、より厳密で正確な計算式があります。)は・・・・
体感温度=(部屋の中の空気の温度 + 壁・床・天井の表面温度)÷ 2 です。
当然の事ですが、全く同じ家でも、住んでいる人が体感する温度は断熱性能で異なります。
■断熱性能(省エネ性能)が低い家
室内の空気の温度:22℃ 壁・床・天井の表面温度:13℃
住んでいる方の体感温度=(22+13)÷2=17.5℃
■断熱性能(省エネ性能)が高い家
室内の空気の温度:22℃ 壁・床・天井の表面温度:20℃
住んでいる方の体感温度=(22+20)÷2=21.0℃
古い家に住んでいて、暖房をガンガンとつけているのに、何故か暖かく感じない、ゾクゾクって寒気がする・・・・というのは、感覚的に当たっているんですね。
人間の持つセンサーはとっても敏感なので、灯油・ガス暖房よりソフトな熱源であるエアコンだと、より一層敏感に感じてしまいます。そして、エアコンでの暖房は『寒い』と思ってしまうわけです。
でも、家の断熱性能が高い家は、エアコンの設定温度と体感温度がほぼ一緒になるので、暖かく感じます。
では、どの程度の性能の家を造れば、エアコンの暖房能力を最大限引き出せるのでしょうか?
どんなサッシが必要とか、どんな断熱材が有効とかというお話しではなく、家全体の省エネ性能値を考えて下さい。
UA(ユーエー)値という重要な値があります。すごく分かりやすく説明すると、熱の出入りしにくさ(夏は暑さの侵入、冬は暖かさの漏洩)を表す数値です。この数値が、小さければ小さいほど、省エネルギーの家が出来ます。
【国が定める省エネルギーの基準値】
➀ZEHプラス基準:UA値=0.5
➁ZEH基準:UA値=0.6
➂H28年基準:UA値=0.87
これから家造りを考えている方は、必ず『UA値=0.5』以下になる性能値を持つ家にして下さい。そして、必ず公的機関による計算書で、家の性能を証明してもらう事が重要です。
公的機関で証明することを、『住宅性能表示』といい、品確法に関わる重要な部分です。家造りでも、皆さんに導入して欲しい項目です。
まとめです。エアコンの暖房でも暖かく感じる家を造るには・・・・
(1)エアコンを選ぶときには、必ず寒冷地エアコンを選ぶ。【東北電力推奨】【北海道電力推奨】のマークが入っていれば、まず心配ないと思います。
(2)建てる家の断熱性能(省エネ性能)を、『UA値=0.5』以下にする。さらに、確認のための計算書を公的機関にしてもらい、品確法に定めた住宅性能表示を所得する。
上記2点をしっかりクリアして頂ければ、エアコンでも暖かくて満足頂ける家造りが可能になります。
春が来るまでもう少し、風邪などひかないようにお身体ご自愛ください。
それでは、また次回お会いしましょう!