『これからお仕事をしよう』 とお考えの奥さま!ちょっと待ってください!
皆さま、「103 万円の壁」という言葉、一度は耳にしたことがあるかと思います。この壁が、来年 ( 平成 30 年度 ) から、「150 万円の壁」に なることはご存知でしたか?
2016 年 12 月に発表された「平成 29 年度税制 改正」で、配偶者控除の大幅変更が、大きな話 題となりました。
※配偶者控除(はいぐうしゃこうじょ)とは、 専業主婦や収入の少ない配偶者がいる納税者か ら、一定の所得控除を行ない、所得税や住民税 を少なくする制度です。
では、この改正が、皆さまにどういった影響 をもたらすのでしょうか?家づくりの資金を貯 めるために、お子さまが保育園に通い始めるタイミングなどで、お仕事を始めようとお考えの奥さまも、きっと多いかと思います。
「いくらまで収入を増やせばいいの?」
そんな疑問について、一緒に考えていきたい と思います。
先ほどお話した、「平成 29 年度税制改正」。変 更になった点は「配偶者控除」が、
103 万円 → 150 万円
になった、ということ。これだけ聞くと、「150 万円まで稼いだ方がいいじゃん!」と、考える 方が多いと思います。
これが実は、そういうわけでもない、ということを覚えておいて下さい。
先ほどから登場している「103 万円」。これは、「世帯主の扶養に入れる壁」です。しかし、別の「103 万円」の壁が存在します。
それは、「所得税を払うか、払わないか」の壁。 収入が年間 103 万円を超えると、所得税を払う必 要があります。
つまり、103 万円を超えると、「配者控除は受けられるが、所得税を払わなくては ならない」ということになります。
さらに、忘れてはならないのが、「住民税」。こ れは自治体にもよりますが、上越市の場合は、年 収が 100 万円を超えると、住民税を払う必要があ ります。
(例)<年収 120 万円の場合>
この場合、所得税は約 8,500 円。住民税は約 24,000 円、合計 32,500 円、年間で支払うことに なります。手取り額は、約 117 万円。このケースであれば、税金を支払わなければい けなくなるかもしれませんが、それでも手取り額 は、100 万円や 103 万円の時よりは大きくなりま す。それに付け加え、ご主人の税金の控除も変わ らないのであれば、働いて少しでも家計を楽にし たいですよね。
では、新しく配偶者控除の限度額となる、150 万円まで働いた場合はどうなるのでしょうか?
(例)<年収 150 万円の場合>
繰り返すようですが、今回の改正で、150 万円 まで奥さまが働いても、ご主人は税金の控除を、 満額の38 万円受けることができます。しかしここで、新たな壁が登場します。それは、「130 万円の壁」。これは、「社会保険料を、ご自身で払わないといけなくなる壁」です。
この場合、社会保険料の自己負担分は、年間 約 210,000 円 ( 地域、年齢等によって異なる )。 所得税が、約 13,000 円。住民税が、約 33,000 円。 合計、約 256,000 円、年間で支払うことになり ます。
この金額を収入から差し引くと、手取り額は、 約 124 万円になってしまいます。
最も手取り額が大きくなるのは、「130 万円未 満ギリギリの収入」です。150 万円の収入の手 取り額との差はわずか数千円ですが、労働時間 で考えると、その差は約 200 時間 ( 時給 1,000 円とすると )。家事、育児で忙しい子育て世代 にとっては、非常に大きな差になるのではないでしょうか?
以上より、配偶者控除が 103 万円から 150 万 円に拡大しても、結果として、社会保険料を払 わないといけないラインの「130 万円」手前ギ リギリで働くことが、最も手取りが多い計算に なります。
働ける時間に制限のある主婦は、このライン が目安になりそうですね。
<参考>
ちなみに、「配偶者控除」の他にも、「配偶者特
別控除」というものもあります。これは、収入 が 150 万円を超えていても、金額は段階的に減っ ていきますが、201 万円までは控除を受けられ る、というもの。( 改正前は 141 万円まで )
今回の税制改正では、ご主人と奥さまの年収 が増えるにつれて、徐々に配偶者特別控除額が 縮小します。そして、ご主人の年収が 1220 万円 を超え、奥さまの年収が 201 万円を超えると、 配偶者特別控除は適用外となります。
【年収による「壁」のまとめ】
①100 万円 : 住民税
②103 万円 : 所得税
③130 万円 : 社会保険料
④150 万円 : 配偶者控除
(※大企業のパートさんは、労働条件によって は「106 万円の壁」が存在します。)
【今回のまとめ】
①平成 30 年度から、「配偶者控除」が大幅変更 (103 万円 → 150 万円 )
②配偶者控除の適用要件は 150 万円に引き上げ られたが、103 万円からは「所得税」がかかる
③130 万円からは、社会保険料がかかる。
④住民税・所得税・社会保険料を加味すると、「130 万円未満ギリギリまで働く」ことが、手 取り金額が最も大きくなる
この他にも、生命保険に入っている人は、「年末調整」によって、給料から差し引かれた税金が 戻ってきたり、職場によっては、年収 103 万円未 満の奥さまがいる場合には「配偶者手当」が出た りと、皆さまそれぞれ、様々な要素を考える必要 があります。
ご夫婦やお子さまと過ごす時間、家事・育児に かける時間・・・。皆さま、ぜひ一度「最適なライン」を、ご夫婦で話し合ってみてくださいね。
今回のテーマについて、もっと詳しく知りたい方は・・・
『子育て安心住まい上越』
で、検索してみてくださいね!最後までご覧いただき、ありがとうございました。